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変化する時代に必要なキャリア形成と実践ポイント

産業保健職として日々多忙な業務に追われる中、ふと立ち止まって自身のキャリアについて考える時間を持つことは難しいかもしれません。しかし、新しい年を迎えるこのタイミングは、自分のキャリアを振り返り、これからの可能性を広げる絶好の機会です。
今回の記事では、キャリアトランジションのステップやロールモデルの活用法、計画的偶発性理論を活かしたキャリア形成の方法をご紹介します。


【目次】
1.キャリアトランジション~次のステージへ進むためのステップ
2.ロールモデル~自分らしいキャリアへのヒント
3.計画的偶発性理論~偶然の出来事や出会いをチャンスに変える


1.キャリアトランジション~次のステージへ進むためのステップ

キャリアトランジションとは、キャリアにおける変化や移行のことを指し、自己のキャリアを見直し、次のステージへ進むための重要なステップです。

キャリア・トランジションは、自己成長や新しいスキルの獲得を通じて市場価値を高め、柔軟性あるキャリアを築く重要な機会です。自身の価値観や目標を再確認し、変化する労働市場に対応できる人材となることで、次のステージでの成功や新たなキャリアを拡げることができます。

キャリア・トランジションが注目される背景

  • 労働市場の変化
    近年、労働市場は急速に変化し、グローバル化や技術革新の進展により、新しい職種が生まれ、既存の職種が消失することもあります。産業保健の分野では、健康経営やメンタルヘルスの重要性が高まっているため、新しいスキルや知識を求められる場面が増えていることに伴い、自身のキャリアを見直し、新たな挑戦をすることが求められています。

  • 働き方の多様化
    リモートワークやフレックスタイム制度の普及により、従来の働き方が変化しています。その変化に伴い、自分のライフスタイルに合った働き方を模索する人が増えています。産業保健スタッフも、より柔軟な働き方を実現するために、キャリアの方向性を見直す機会になるでしょう。

  • 個人のキャリア意識の変化
    個人のキャリア意識も変化し、かつては「終身雇用」が一般的でしたが、現在では自分のキャリアを自分でデザインすることが求められています。転職を考える産業保健師にとって、自身のスキルや経験を活かしながら新たな職場での可能性を探ることが重要です。

キャリア・トランジション・サイクルとは

キャリア・トランジションを理解する上で、ナイジェル・ニコルソンのキャリア・トランジション・サイクルが役立ちます。この理論では、転機は以下の4つのサイクルを繰り返していることを提唱しています。

準備:新しい世界に入るための準備段階
遭遇:新しい世界で現実の状況に直面する段階
適応:新しい役割や人間関係に徐々に適応していく段階
安定化:新しい役割、人間関係に慣れて安定する段階

この一連のサイクルが終了すると、また次のキャリア・トランジションへ移行する、とニコルソンは記しています。
各段階での本人の思考のあり方と行動は、次の段階の迎え方に影響します。過度な期待や役割への適応が難しくモチベーションが低下し、サイクルが良い循環になっていない場合には、問題があるサイクルはどこかを振り返り、自ら改善していくことが求められます。

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2.ロールモデル~自分らしいキャリアへのヒント

「この先どうしよう?」とキャリアに迷うとき、ロールモデルを設定しておくことで、お悩み解決のヒントをもらえるかもしれません。ロールモデルとは、自分の目標や理想とする生き方、働き方を体現している人のことを指します。
身近な存在に目を向け、職場の先輩や同僚の中から、尊敬できる人や理想的な働き方をしている人を探してみましょう。また、書籍やインタビューを通じて学ぶことも有効です。

ロールモデルの役割と意義

  • 役割:ロールモデルは、具体的な目標を示す存在としての役割を担っています。「成長したい」「成功したい」といった願望を具体的な行動やキャリア像に落とし込む際に有用です。

  • 意義:ロールモデルは、目標設定の基準になるだけでなく、具体的な成功例を示してくれる存在です。キャリアの方向性が明確になり、「こんなふうに働きたい」と感じることで、モチベーションの向上が期待できます。

ロールモデルを設定することで見込める効果

ロールモデルを見つけただけで終わりにせず、キャリア形成に活用し、自分自身の可能性を拡げていきましょう。

目標の明確化
ロールモデルがいることで、自分が目指すべき目標が具体化します。「この人のようになりたい」という明確なイメージを持つことで、次に取るべき行動が分かりやすくなります。

モチベーションの向上
自分が憧れる人の実績や努力を知ることで、「自分も頑張ろう」と前向きな気持ちを持てるようになります。例えば、「仕事と育児を両立した先輩」をロールモデルに設定した場合、同様の状況になったときに「私も両立できるはず」と感じ、努力を続ける原動力になることでしょう。

課題解決のヒントを得られる
ロールモデルが過去に直面した課題、その課題への乗り越え方を学ぶことで、現在の悩みに対する具体的な対策を得られるため、同じような状況に対処する際の参考になります。

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3.計画的偶発性理論~偶然の出来事や出会いをチャンスに変える

時代の変化に対応するためには、自分のキャリアを積極的に形成することが大切です。そのために役立つのが、計画的偶発性理論という考え方です。

計画的偶発性理論とは

心理学者のクランボルツが1999年に発表したキャリア形成理論で、この理論によると、個人のキャリアの8割が予想しない偶然の出来事によって決定されるというのです。従来のキャリア形成理論とは異なり、明確なゴールを定めずに、現在に焦点を置いてキャリアを考えることを推奨します。

計画的偶発性理論は、変化の激しい時代において、自分のキャリアを積極的に形成するための有用な理論です。しかし、偶然の出来事や出会いをチャンスに変えるためには、自分自身の行動する力が必要とされています。

計画的偶発性理論の5つの行動特性

計画的偶発性理論において、偶然の出来事を自分のキャリアに有利にするためには、以下の5つの行動特性を持つことが重要です。

  1. 好奇心(Curiosity):新しいことに興味を持ち続ける
  2. 持続性(Persistence):失敗してもあきらめずに努力する
  3. 楽観性(Optimism):何事もポジティブに考える
  4. 柔軟性(Flexibility):こだわりすぎずに柔軟な姿勢をとる
  5. 冒険心(Risk Taking):結果がわからなくても挑戦する

これらの行動特性は、計画的偶発性理論の実践に欠かせないものです。しかし、これらの行動特性を持つだけでは、偶然の出来事や出会いをチャンスに変えることはできません。計画的偶発性理論を自分のキャリアに応用するためには、以下の3つのステップを踏むことがおすすめです。

ステップ1:偶然の出来事や出会いに気づく
偶然の出来事や出会いは、日常生活の中に潜んでいます。しかし、それに気づかなければ、チャンスに変えることはできません。偶然の出来事や出会いに気づくためには、自分の興味や関心を広げることが大切です。

ステップ2:偶然の出来事や出会いに反応する
偶然の出来事や出会いに気づいたら、それに反応することが重要です。反応するとは、偶然の出来事や出会いに対して、自分の感想や意見を表明したり、質問したり、アドバイスを求めたり、協力を申し出たりすることです。

ステップ3:偶然の出来事や出会いに学ぶ
偶然の出来事や出会いに反応したら、それに学ぶことが大切です。学ぶとは、偶然の出来事や出会いから得られた情報や知識を、自分のキャリアに関連付けて考えることです。

これらのステップを踏むことで、偶然の出来事や出会いをチャンスに変えることができます。しかし、これらのステップを踏むことは、一度や二度で終わるものではありません。常に偶然の出来事や出会いに気づき、反応し、学ぶことを繰り返すことが、計画的偶発性理論の実践になります。


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