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産業医面談記録の書き方~産業保健でも活用できる!SOAP形式~

面談記録は、裁判でも重要な記録として扱われます。その際にきちんとした主張ができるように記録を書くことが重要です。
本記事では、面談記録の書き方について説明します。

※本記事は2023年11月8日に実施された勉強会について、次の動画の内容(一部)を編集して作成しています。
復職支援で訴訟されない!判例を基に徹底解説


【目次】
1.面談記録の書き方:SOAP形式
2.裁判の証拠資料としての面談記録


1.面談記録の書き方:SOAP形式

面談記録を、ただ単にメモのように羅列して書いている方も多いのではないでしょうか。私も以前はそのような形で記録を取っていましたが、ある時からSOAP形式で面談記録をとるようになって非常にすっきりとしたわかりやすい記録を書くことができるようになりました。
SOAP形式は、みなさんご存知の通り医療の現場でよく使用される記録方法ですが、産業保健領域でも応用することができます。

SOAP形式

まず、Sの部分には、対象となる従業員が話した内容を整理します。全部書くのではなく、大事なポイントを記録します。
Oの部分には、客観的な情報や観察結果を書きます。病院では検査結果などを書き込みますが、産業保健の分野では、健診結果のデータや面談時の様子などを記録しています。
Aの部分は産業保健領域でも非常に大切です。産業保健では、健康問題に加えて就労の問題も取扱いますので、健康面と就労面を分けて記載する場合もあります。
そしてPには、今後のアプローチや計画を記入します。その他、現在の就労面や健康面の課題をプロブレムリストにまとめておきます。



2.裁判の証拠資料としての面談記録

面談記録は、裁判となった際にも、非常に大切な記録として取り扱われます。
下記はある裁判の時に証拠として利用された面談記録のサンプルです。

事例

この記録では、職場復帰については主治医に相談と書いているだけです。
この面談の時点で復職について産業医がどう判断しているかという点が、やはり裁判でも争点になりました。
本人側はこの時点で産業医は復職可能と判断していたと主張しましたが、産業医や会社側は、この時点では復職不可と判断していたと反論しています。
面談記録にきちんとした記載がないと、裁判での争点がひとつ増えてしまいます。

この場面では、下記のような記載をしておくと先ほどのような問題は起きなかったと考えられます。

事例




余計な争いを防ぐためにも、職場復帰支援の面談の場面では面談の度に毎回アセスメント欄に復職の可否を記載しておくことをお勧めします。

裁判対策だけでなく、SOAP形式を用いてしっかり面談記録を作ることで、日々のケース対応の質も向上していきます。




講師


難波克行(産業医, 労働衛生コンサルタント)

アドバンテッジリスクマネジメント 健康経営事業本部顧問
アズビル株式会社 統括産業医

メンタルヘルスおよび休復職分野で多くの著書や専門誌への執筆
YouTubeチャンネルで産業保健に関わる動画を配信

代表書籍
『職場のメンタルヘルス入門』
『職場のメンタルヘルス不調:困難事例への対応力がぐんぐん上がるSOAP記録術』
『産業保健スタッフのための実践! 「誰でもリーダーシップ」』




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