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健康経営の本質と経営層巻き込みの3ステップ:産業保健スタッフが知るべき企業経営との連携

健康経営はもはや人事部門だけの課題ではなく、企業経営の根幹に深く関わる重要テーマです。経済産業省の健康経営度調査でも経営層のコミットメントが問われるようになり、産業保健スタッフも経営層との連携を強化していく必要があります。本記事では、健康経営が企業経営の中心となった背景を整理し、経営会議で健康経営を議題化するための具体的な3つのステップを解説します。


1. 健康経営が企業経営の重要課題となった背景

かつて従業員の健康課題は個人の問題とされてきましたが、2013年の「日本再興戦略」以降、国を挙げて「健康寿命の延伸」が推進されるようになりました。2015年には東京証券取引所が「健康経営銘柄」を設定し、さらに近年はESG経営の潮流の中で人的資本の重要性が一段と高まっています。企業の価値の約9割が無形資産とされるなか、社員の健康とWell-beingへの投資が企業の持続的成長に直結することが明確化しています。

2. 健康経営度調査で問われる経営層のコミットメント

経済産業省が毎年実施する「健康経営度調査」では、経営トップの健康経営への関与や経営会議での議題化が詳細に問われています。特に令和4年度以降は経営会議での議題化回数まで数値化され、経営層の積極的な関与が健康経営の成果向上に不可欠とされています。産業保健スタッフはこの流れを理解し、経営層への説明や提案を効果的に行う役割が求められています。

3. 経営層を納得させる「健康経営議題化」の3ステップ

産業保健スタッフが経営層に健康経営の重要性を理解・優先してもらうためには、データに基づく説明と同業他社との比較による課題の「見える化」が鍵となります。具体的には以下の3ステップです。

【ステップ①】健康経営度調査のフィードバックシートを活用し、自社の健康経営評価の現状と前年との改善点・課題を整理する。
【ステップ②】経済産業省公開のマクロデータを使い、ホワイト500や健康経営優良法人など他社との比較で自社の相対的な課題を「見える化」する。
【ステップ③】分析結果を具体的な数値や他社とのギャップとして経営会議で説明し、経営層の課題認識とコミットメントを促す。

これらのステップを踏むことで、健康経営を経営課題として経営層に定着させ、より実効性の高い施策につなげることが可能です。

産業保健スタッフは、健康経営を単なる健康施策の一環ではなく、企業価値向上の戦略的課題として捉え、経営層と協働して推進する視点が不可欠です。今回の3ステップを参考に、自社の健康経営推進に役立ててください。

もっと詳しく知りたい方はこちら

出典

アドバンテッジJOURNAL
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