肥満症対策に向けた6つの提言を日本医療政策機構が提言!
日本医療政策機構 「肥満症対策推進プロジェクト」では、
「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策に向けて」で得られた知見や議論を基に、政策提言「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策に向けた6つの提言」を取りまとめました。
産業医や保健師などの多職種連携の重要性や、社会的背景への取り組み、PHR(Personal Health Record))への推進などが記載されています。
提言1
医療的介入が必要な肥満症の定義を広く社会に浸透させ、介入が必要な当事者を同定するとともに、引き続き科学的根拠に基づく各種ガイドラインを整備していく必要がある
■治療が必要な肥満症の人へ適切な介入ができるよう、ガイドラインや指針の整備をしつつ、広く社会に浸透させる必要がある。
■減量の必要のない女性や若年層など が、過度に肥満を恐れることを防止することが重要である。
■わが国では、、不必要な減量などによる低栄養の人と、過栄養の人が併存する「栄養不良の二重負荷」の兆候が見られる。
提言2
医療的介入が必要な肥満症の治療においては、専門医や専門医療機関の関与 のみならず、かかりつけ医や産業医との連携や多職種連携を推進する必要がある
■医療機関での専門医(内科、外科、精神科など)、管理栄養士、看護師、 理学療法士、臨床心理士、保健師などによる多職種連携が効果的である。
■専門医療機関での受診前後では、プライマリーケア医、かかりつけ医や産業医との連携が求 められる。
■特定保健指導や医療機関への受診勧奨の着実な実施やに加え、さ んぽセンターの活用を含め、産業医、かかりつけ医、保健所などが連携し、肥満症当事者を支援 できる体制構築が必要である。
提言3
肥満症の発症要因は多様かつ複雑であり、過食や運動不足といった自己責任 論に収束することなく、「健康の社会的要因」の視点を踏まえ、当事者および社会全 体が抱える要因課題を再認識する必要がある
■孤立や貧困、ストレスといったメンタルヘルスや社会的環境が要因になってい るケースが多く、社会的背景を考慮した上で栄養指導などの介入行っていくことが必要である。
■精神障害の当事者が肥満症になるケースもある。肥満症は当事者の自己責任ではなく、「社会的要因」が背景として存在することの認識が必要。
提言4
肥満症の発症要因の多様性や複雑性を踏まえ、肥満症に対する介入方法を多 様化させるべく、幅広い関係者の協働と参画を拡充させる必要がある
■医学的介入だけでなく、認知行動療法の活用や精神科との連携など、肥満症当事者のニーズに寄り添った介入の検討が必要。
■環境や相互作用も考慮して解決策を検討するシステムズアプローチの視点を 基盤とする。
■健康増進に積極的な企業を顕彰する制度など、経済システムにお ける評価指標の構築も期待されている。
提言5
肥満症や肥満に関連する出現状況は、国や地域によって異なるため、わが国 における研究を拡充させ、エビデンスやデータに基づく政策を展開する必要がある
■日本人のみでなく、人種や地域を問 わず、肥満が多様な疾患や健康影響の要因になる。
■詳細な疫学的な分析においては、国や地域、人種により肥満症の影響に差が介在すること がわかっている。
■世代別でもより若い世代で、肥満が寿命に大きく影響することがわかっている。
提言6
肥満症対策のみならず保健医療システム全体を俯瞰した医療情報ネットワー クやデータヘルスシステムの構築により、当事者にとって円滑な健康増進施策を推 進する必要がある
■医療情報 ネットワークやデータヘルスシステムの構築が必要不可欠である。
■国民がPHRを保持し、健康情報を、かかりつけ 医や産業医、専門医療機関と共有することで、当事者にとって質が高く無駄のない医療や健康相談 を提供することが可能となる。
■肥満症対策においても、多職種連携や多機関連携のためには、医療情報ネットワークやデータヘル スシステムの構築が急務であることを、政府や関係ステークホルダーは認識する必要がある。
引用:日本医療政策機構 肥満症対策 推進プロジェクト 政策提言 患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策に向けた 6 つの提言
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