【保存版】衛生管理者を受験してきた!合格するまでの道のりとは?
常時50名以上が勤務している事業場に必須な衛生管理者。
労働者の健康を守る上で必須な存在であり、産業保健に関わる人は衛生管理者の資格取得を指示されることも多いのではないでしょうか?
今回、さんぽLAB運営事務局のメンバーの1人が実際に衛生管理者の資格を取得してきました。衛生管理者試験を合格しないといけない方には必読の内容となっています!
受験する方、是非こちらの記事を参考にしてみてください。
【目次】
1.衛生管理者試験の受験までの流れ
1-1.衛生管理者とは
1-2.第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の違い
1-3.衛生管理者の取得方法
1-4.衛生管理者の受験申込み
2.試験の内容について
2-1.試験科目・金額ついて
2-2.勉強の方法
2-3.合格のコツ
3.衛生管理者試験の当日までの流れ
3-1.当日の持ち物
3-2.会場への行き方-関東安全衛生技術センターの場合-
3-3.試験の様子
4.衛生管理者に合格した後にやること
4-1.合格発表
4-2.免許発行
5.衛生管理者を取得した感想
1.衛生管理者試験の受験までの流れ
まずは衛生管理者になるための第一歩、受験申込の方法について把握しておきましょう。
申し込み資料を取り寄せたり、お金を振りこむ必要があったりと、受験までにやらなくてはいけないことが多いです。
1-1.衛生管理者とは
そもそも衛生管理者とはどういった存在なのでしょうか?
衛生管理者は、事業場の衛生全般について管理を行う存在です。職場で働く労働者の健康を守り、労働災害を防ぐ役割があります。業種を問わず、常時50人以上の労働者が働いている場合、一定の規模に応じた人数以上の衛生管理者を選任する必要があります。
また、以下の条件にあたる場合は衛生管理者の内、1人を専任する必要があります。
・常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
・常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの
引用元:安全衛生キーワード(厚生労働省)
事業者としては選任すべき事由が発生してから14日以内に選任する必要があり、選任報告書を所轄労働基準監督署長へ提出する必要があります。
また、衛生管理者が旅行、疾病、事故等の事由によって職務を遂行できない場合は、代理者を選任しなくてはいけません。
1-2.第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の違い
衛生管理者には2種類あります。
第一種衛生管理者は所持することにより、すべての業種の事業場で衛生管理者となることができます。
第一種が必要になる業種は以下の通りです。
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(者の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業および清掃業
引用元:衛生管理者について教えて下さい。(厚生労働省)
第二種衛生管理者は、有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業などの一定の業種の事業場でのみ衛生管理者になることができます。
1-3.衛生管理者の取得方法
衛生管理者になるには、安全衛生技術試験協会が主催する試験を受験し合格する必要があります。
しかし、保健師の免許がある場合には無試験で第一種衛生管理者の資格を取得することができます。これは、保健師の国家試験受験資格の条件に第一種衛生管理者免許の取得要件が含まれているためです。
1-4.衛生管理者の受験申込み
衛生管理者の受験申込みの方法について説明します。受験する前に、まずは受験資格について確認しておきましょう。条件は以下の通りです。
・学校教育法による大学、もしくは高等専門学校を卒業しており、1年以上労働衛生の実務経験がある
・高等学校もしくは、中高一貫学校を卒業しており、3年以上労働衛生の実務経験がある
・10年以上、労働衛生の実務経験がある
参照元:受験資格(公益財団法人安全衛生技術試験協会)
また、保健師資格をお持ちの方は労働局に申し込むだけで第一種衛生管理者の資格を取得することが可能です。
1-4-1.一般受験の場合
まずは、受験申請書を取り扱い期間から取り寄せる必要があります。最寄りの安全衛生技術センターに直接取りに行くか、郵送で依頼することも可能です。
手元に受験申請書が届いたら、早速申請書を作成していきましょう。
受験する際に必要な書類は以下の通りです。受験資格によって必要な書類が異なりますので、安全衛生技術試験協会のHPを確認するようにしましょう。
ここでは、一般的に必要になる書類をご紹介します。
必要な書類
・受験申請書(願書)
・試験手数料(8,800円)
・証明写真1枚(24mm×30mm)
・本人確認書類のコピー
・大学もしくは高校卒業証明書、またはそのコピー
・事業者証明書
提出先は各安全衛生技術センターになります。受験を希望するセンターに提出するようにしましょう。こちらもセンター窓口の直接提出するか簡易書留で申し込むことができます。受験日の2か月前から申し込むことが可能で、第1希望日の定員がいっぱいになってしまった場合は第2希望の日付になります。 試験は平日に実施されるので、早めに申し込むことをおすすめします。
安全衛生技術センターで受験する場合は、受験申請書類郵送後、10日以内に受験票が届きます。届かなかった場合はセンターに連絡をするようにしましょう。(出張特別試験の場合は試験日の3日前までに届かなければ問い合わせしましょう)
1-4-2.保健師の場合
都道府県の労働局で申請するか、労働基準監督署で本人確認をし、郵送で申請するかの2択です。労働局は平日のみやっているので、労働基準監督署で本人確認後に郵送で申請する方がハードルは低いかなと思います。
①労働局で申請
労働局で申請する場合は、必要書類を持って行き申請します。その後返信用封筒に返信用切手を貼り付けして、提出すれば免許証が送られてきます。
必要な書類
・免許申請書(労働局で貰うか、ホームページでダウンロードしましょう)
・証明写真(24mm×30mm)
・保健師免許証(原本)
・本人確認書類(免許証・住民票など)
・収入印紙1,500円分
・返信用切手404円分(価格改定があるので要確認)
・返信用封筒(労働局で貰えます)
②郵送で申請
郵送で申請する場合は、必要な書類を揃えて近くの労働基準監督署へ持参します。
本人確認終了後、必要書類を都道府県労働局へ郵送し免許を発行してもらいます。
必要な書類
・免許申請書
(労働局で貰うか、ホームページでダウンロードする)
・証明写真(24mm×30mm)
・保健師免許証コピー
(最寄りの労働基準監督署でコピーされており、本人確認の印鑑が入ったもの)
・本人確認書類コピー
(運転免許証など本人確認をしたものかつ、労働基準監督署でコピーされており、印鑑が入ったもの)
・収入印紙1,500円分
・返信用切手404円分(価格改定があるので要確認)
・返信用封筒(最寄りの労働基準監督署でもらえます)
2.試験の内容について
ここからは試験の内容について触れていければと思います。
2-1.試験科目・金額ついて
試験の基本概要は以下の図を参考にしてください。
2-2.勉強の方法
勉強の方法としては主に2択、通信教育などの講座を利用するか、テキスト・YouTube・過去問を用いて独学で進めていくかになります。
第一種衛生管理者であれば100時間、第二種衛生管理者であれば60時間ほど勉強するのが目安と言われています。
衛生管理者を急いで取る人は通信講座を、少し余裕がある方は独学で進めるのがおすすめです。
YouTubeや過去問をまとめたサイトも情報が充実しています。私の場合、産業保健に関わるサービスに携わってきたので、理解しやすい部分も多くありました。人事労務に関わってきている人も、目安の時間より少ない時間で合格できるのではないかと感じました。
2-3.合格のコツ
上の図でも触れていますが、各科目4割以上、総合6割以上取れれば第一種、第二種ともに合格することができます。
得意科目だけでフォローしようとすると各科目4割以上のボーダーを切る場合があるので、満遍なく理解を深めるようにしましょう。
関連法令は毎年大きな変更が起こりにくい部分になりますので、法令の内容をしっかり覚えることで得点源に繋げることができます。
労働衛生の部分は新傾向の問題もいくつか出題されますが、多くはこれまで出題されてきた問題が多いです。確実に取れる部分で点数を取れるようにしましょう。
直近5年間の過去問を解くと、頻出問題の傾向について理解が深まってきます。テキストや講義で網羅的に知識を付けたら、早速過去問を解くことに着手することをおすすめします。苦手な部分を早く潰し、足を引っ張る科目が無い状態にしましょう。
※執筆者が第二種衛生管理者を受験する際に使ったもの
・テキスト:改訂版 この1冊で合格! 村中一英の第2種衛生管理者 テキスト&問題集
・過去問の問題集:2023年度版 第2種衛生管理者過去8回本試験問題集
・過去問が掲載されているサイト:過去問.com
3.衛生管理者試験の当日までの流れ
ここからは、試験を受けに行く人に向けて当日の流れについて説明していければと思います。
3-1.当日の持ち物
試験当日に必須な持ち物は以下の通りです。
持ち物一覧(必須)
・受験票
・筆記用具(鉛筆・シャーペン・消しゴム)
・電卓(関数電卓は不可)
時計は教室の前に設置されているので、無くても問題はありませんが、後ろの方の席だと見にくいので、腕時計を持って行くのがおすすめです。
また、会場の近くで昼食を取れる場所がないので、事前に飲みものと食事を用意していくと、落ち着いて試験に臨めます。
試験時間が13時半からの場合、早めに到着すれば会場内で食事をすることも可能です。
3-2.会場への行き方
今回は関東安全衛生技術センターの行き方について説明いたします。試験日は五井駅から直通バスと乗り合いタクシーが運行しています。直通バスの運行時刻時刻は以下の通りです。
・試験開始時刻が13:30の試験 11:50(始発) ~ 12:55の間 運行
・試験開始時刻が12:30の試験 10:50(始発) ~ 11:55の間 運行
乗車時間は約20分間。運賃片道370円(令和3年12月1日現在)。ICカード可。
参照元:関東安全衛生技術センター案内図
(最新情報や詳細は関東安全衛生技術センターに問い合わせてください)
①まず五井駅まで向かいましょう。(筆者は千葉駅から内房線に乗り換えて行きました)
②改札を出て東口方面に進みます。
③渡り廊下を進んでいきます
④関東安全衛生技術センター行きタクシー乗り場の看板が見えたら、矢印に従って階段を降ります。
降りる階段横にも案内があります。
⑤3番乗り場から、「技術センター」行きバスに乗って関東安全衛生技術センターに向かいます。
⑥関東安全衛生技術センターに到着
3-3.試験の様子
試験開始15分前までには着席するようにと指示があります。時間は必ず守るようにしましょう。試験監督官から試験に関する注意の案内があります。注意事項を良く守り、集中して試験に取り組んでください。
試験時間は3時間とありますが、開始1時間後から途中退室が可能になります。マークシートの記載ズレや名前の記載などのWチェックを終えたら退出をおすすめします。途中退室しても五井駅への直通バスは運行されているので、混まないうちに帰宅してしまうのがおすすめです。
また、帰宅前に忘れずに受け取ってほしいのが免許申請書です。こちらは合格後の免許申請に必要になりますので、必ず受け取って帰るようにしましょう。ここで免許申請書を受け取り忘れると、後日取り寄せる必要が出てくるので注意が必要です。
4.衛生管理者に合格した後にやること
4-1.合格発表
合格発表は試験日から1週間後に安全衛生技術センターのHPで発表されます。合格後には合格通知書が届きますので必ず受け取るようにしましょう。
合格通知書が届いたら、試験当日に受け取った免許申請書を用いて申請し、免許を発行します。
免許申請に必要なものは以下の通りです。
・免許申請書
・証明写真 × 1枚
・1,500円分の収入印紙
・免許試験合格通知書
・専用(窓空き)定形封筒(免許証の返送に使われます)
・404円分の切手(専用(窓空き)定形封筒に貼っておきます)
・角2封筒(安全衛生技術センターで申請書を貰うときに付いてくる)
必要なものを用意したら角2封筒にまとめ、東京労働局免許証発行センターに簡易書留で郵送します。
※免許証の発行はどこで受験しても東京労働局免許証発行センターが申請先となります。
4-2.免許発行
しばらくすると衛生管理者免許証(緑のカード)が送られてきます。これで衛生管理者になれましたね!
衛生管理者免許は国家資格のため、第一種・第二種ともに有効期限はありません。取得するまでは申請や勉強で大変ですが、一度取得してしまえば後は日々の情報のアップデートや勉強をしていくのみです。
労働者の安全衛生向上のために、励んでいきましょう!
5.衛生管理者を取得した感想
私が衛生管理者を受験しようと思ったきっかけは、会社で必要とされているからではなく、さんぽLABを運営していく中で、あらためて産業保健に関する知識を学習し直さないとなと思って、その学習の一環で取得したという背景があります。産業保健に関わることが網羅的に学習することができるので、何故法令になっているのか、どのような根拠でルールが定められているかが、以前より明確になりました。
職場の安全を守る、産業医や衛生管理者、衛生推進者などの存在の重要性。安全・衛生委員会の実施の意味など、あらためて振り返る機会となりました。
今後も、さんぽLABを通じて職場の安全衛生を向上させていけるように、取り組んでいければと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
■執筆者が受講した『両立支援コーディネーター』の記事もおすすめです。
■安全衛生管理を学べる動画はこちら
■作成:さんぽLAB 運営事務局 衛生管理者
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投稿を表示とっても面白い記事、ありがとうございます。
私は出張試験で受けたので、五井駅は旅行で通っただけ…こういう建物なんだ、と勉強になりました。
「一度取得してしまえば後は日々の情報のアップデートや勉強をしていくのみです。」
さらっと書かれていますが、ここが本当に難しいところだと思います。
実際に試験で覚えた「クロム=鼻中隔穿孔」なんて案件に出会うことはめったになく、むしろ社内のメンタル不調者、長時間労働者などへの対応、健診・ストレスチェックなどの実務…などなど試験に出ない仕事がたくさんあると思います。
ARMの衛生管理者さん、こんどは「衛生管理者は日常ではどんな仕事をしているか?」を記事にしてもらえたら面白そうです。
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投稿を表示この記事、とても面白い。ホント、【保存版】だと思いました。
社内で「衛生管理者」取得必要者の社員から、「保健師さん、どうやって取得したの?」と聞かれたことがあって、その時は「保健師は申請することで資格取得だったので、参考にならず、すみません。だから前任者に聞いてみてください。」との回答になってしまい、私の気持ちは『役に立ててない感』で会話が終了してしまいました。今後、社員から聞かれたら、この記事を紹介しようと思いました。
さんぽLABメンバーさま、「会社で必要とされているからではなく自発的な取得」とは、ステキです!衛生管理者の資格取得、おめでとうございます!!
あっ、今、私が興味ある「労働衛生コンサルタントへの道のり」「社会保険労務士への道のり」バージョンも、ぜひ記事にしていただけたら嬉しいなー、と思いました。いつか、よろしくお願いいたします。
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