ストレスチェック制度の導入と進めるうえで気を付けるべきポイント
ストレスチェックの実施は法令で義務付けられていることはわかっていても、どのように制度の導入準備を進めていったらよいのかわからない方もいることでしょう。本記事ではこれからストレスチェック 制度を導入する必要がある方、ストレスチェックの実施体制を変更したい方に向けて具体的な進め方について解説していきたいと思います。
【目次】
1.専門家や外部ベンダーの利用など何を選び、導入をするのか
2.実施する人は?
3.ストレスチェックの全体の流れ
4.導入をしたら従業員への周知徹底
5.情報の取り扱いの注意点
1.専門家や外部ベンダーの利用など何を選び、導入をするのか
ストレスチェックの結果をどこまで分析するのか、集計を簡易にしたいのか、紙とオンライン回答の2種類を使い分けたいなど様々なニーズがあります。実施方法について選ぶ視点について紹介します。
ストレスチェック制度を円滑に進めていくためには、予算を確保して実施する必要があります。もちろん、データ集計の効率化や分析などにコストをかけたい場合は外部ベンダーに依頼するのが良いでしょう。ですが、ストレスチェックにコストをかけられない場合はどうすれば良いでしょうか。
ストレスチェックは、労働安全衛生規則第52条の9に規定されている下記3つの項目について、心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならないとされています。
① 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
② 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
③ 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
(参考:厚生労働省 ストレスチェック制度導入ガイド)
これらの内容が含まれていて、かつ厚生労働省が推奨しているものがあり、それが「職業性ストレス簡易調査票」と「新職業性ストレス簡易調査票」と呼ばれる調査票があります。「職業性ストレス簡易調査票」は57項目と簡易版の23項目、「新職業性ストレス簡易調査票」の80項目の代表的なものとして、3種類があります。多くの企業では57項目の調査票が用いられています。
厚生労働省では「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を無料で提供しています。
こちらのシステムはコストをかけずに、自社内で完結できることが強みです。社内にストレスチェック制度の運用やシステムの導入について経験のある人がいれば安心です。デメリットとしてはスマートフォンから回答できない、PCに個別でインストールする必要がある、調査票の回収(リマインドメールなど)の負担が大きい、集団分析の課題が見えにくい等が挙げられます。
そうしたデメリットを解消したい場合は有料のサービスを用いると良いでしょう。有料版ではブラウザ上で完結できるもの、実施事務従事者を代行してもらえるもの、結果の集計から分析までを行ってくれるもの、リマインドまで行ってくれるものなど様々です。
アドバンテッジリスクマネジメントも『アドバンテッジタフネス』という業界シェアNo1のストレスチェックサービスを展開しています。課題分析から定期的な改善検証まで、徹底的にサポートしますのでストレスチェックを中心とした組織改革をお考えの方は、是非お問い合わせください。
2.実施する人は?
ストレスチェックを実施するには実施者と実施事務従事者の選任が必要となります。
実施者:医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士であって、ストレスチェックを実施する者のことを指す。
実施事務従事者:実施者の指示により、ストレスチェックの実施の事務(個人の調査票のデータ入力、結果の出力又は結果の保存(事業者に指名された場合に限る)等を含む。)に携わる者を指す。
ここで注意をしたいのは社員の人事(解雇、昇進、異動)に関して権限を有する者は実施者や実施事務従事者になることはできませんので、押さえておくようにしましょう。
3.ストレスチェックの全体の流れ
ストレスチェックの全体の流れは以下の通りです。
(参考:職場の健康がみえる 産業保健の基礎と健康経営 第1版)
4.導入をしたら従業員への周知徹底
各システム等の案内に沿ってインストール作業やアカウントの準備等を進めていきます。それと並行して、ストレスチェック制度について、労働者への周知徹底が肝心となります。ストレスチェックの指針として全ての労働者がストレスチェックを受検することが望ましいとされています。ですが労働者が受検すること自体は、法令で義務付けられてはいません。
外部ベンダーを利用せずに制度運用をする場合、リマインドメール、紙の調査票の回収など自分たちで行う必要があります。労働者側の協力が得られなければ、ストレスチェックの円滑な運用は困難なケースがあるため、労働者が安心して受検できる環境整備が重要です。
5.情報の取り扱いの注意点
ストレスチェックの結果が判明したら、事業者は回答者に対して遅延なく結果を通知する義務があります。結果の通知については実施事務従事者から回答者本人に行われます。ここで注意をしたいのは、事業者はストレスチェックの結果を本人の同意なしに見ることができないということです。ストレスチェックの結果は個人情報にあたります。労働者の個人情報が適切に保護され、不正な目的で利用されることのないよう、結果の通知の際の情報の取扱いには、十分留意しましょう。
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