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健康経営銘柄は“特別な施策なし”でも取れる? 5年連続取得企業に聞く、その裏側

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健康経営銘柄やホワイト500を取り続けるには、何か特別な施策や多額な予算が必要――そんなイメージを持っていませんか?

実は、5年連続で銘柄を取得している企業の担当者は、「特別な施策はない」と話します。少し意外に感じますよね。

では、なぜ取り続けることができているのでしょうか。
本記事では、さんぽLABの運営元でもあるアドバンテッジリスクマネジメントで健康経営を担当する人事課の神原さんへのインタビューをもとに、その取り組みの実態や工夫を分かりやすくご紹介します。

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【聞き手|さんぽLAB運営事務局 保健師】

目次

1.健康経営銘柄を取得・継続できたポイント
2.健康経営への取り組みKPIの設定について
3.人事・産業保健スタッフの役割や連携について
4.PDCAサイクルの設計・施策の効果検証
5.施策の検討・実行について
6.限られたリソースでの効率化と工夫
7.これまでの苦労と乗り越えた経験
8.これから健康経営に取り組む企業へ
9.さいごに


1.健康経営銘柄を取得・継続できたポイント


Q. 健康経営銘柄を取得・継続する上で重要なポイントを教えてください

A. 健康経営の調査票は本当に幅広い内容が問われるため、「これが良かったから取れる」といったものがあるわけではありません。どちらかというと、どれだけ網羅的に取り組めているかが重要だと感じています。

健康施策そのものだけでなく、経営層との議論の進め方や、社内外への情報発信の状況なども含めて見られるため、特定の施策に絞るのではなく、全体を見ながら一つひとつ対応していくことが大切だと思います。

Q. 他社と比較したときの強みはどのような点にあると感じていますか?

A. データを活用した推進は当社の強みだと感じています。最終的に改善したいのは、休職率や生産性といったアウトカムですが、そこに対してどの指標が有効なのかを、人事データをもとに分析しています。

複数のデータを掛け合わせて分析し、そこからKPIを逆算して設定している点は、特徴的な取り組みの一つだと考えています。

Q. 今回、高い評価につながったポイントや工夫はありますか?

A. 今回特定の施策が評価されたというより、網羅的に取り組めていることが大きいと感じています。全体としてバランスよく対応できているかが重要だと考えています。

あえて挙げるとすれば、カフェテリアプランは調査票を踏まえて設計しており、結果的に健康経営とも相性の良い制度になっています。ただし、あくまで全体施策の一つとして活用しています。


2.健康経営への取り組み、KPIの設定について


Q. KPIはどのように設定されていますか?

A. KPIについては、アブセンティズムやプレゼンティズム、ワークエンゲージメントといった指標を重点的に見ています。そのうえで、生活習慣や残業時間など、それらと関係性のある人事データを組み合わせながら、KPIを設定しています。

単独の指標だけで判断するのではなく、複数のデータを掛け合わせて見ていくことで、どの要素が影響しているのかを捉えるようにしています。

Q. KPIはどのような体制で決めているのでしょうか?

A. KPIは人事だけで決めるのではなく、専門職の意見も取り入れながら検討し、最終的には経営会議や取締役会で決定しています。全社的なテーマでもあるため、経営層とすり合わせながら進めています。

また、社外に開示するKPIについては、メリットとリスクの両面を踏まえ、「何でも出せばよいわけではない」といった指摘を受けることもあります。一方で、補足情報も含めて丁寧に伝えることの重要性についてもアドバイスを受けています。

Q. 年間の取り組みはどのように計画されていますか?

A. 健康診断やストレスチェック、健康セミナーなどは年間スケジュールとして社内に共有しています。

一方で、全体の計画は決まったフォーマットがあるわけではなく、調査スケジュールから逆算しながら調整しています。

特に8月末から10月上旬は業務が集中する繁忙期です。


3.人事・産業保健スタッフの役割や連携について


Q. 人事担当者と産業保健専門職はどのように役割分担されていますか?

A. 全体のスケジュール管理やKPIの設定、経営層との議論などは人事が主導し、両立支援や制度設計も人事側で進めています。

一方で、健康診断や保健指導、セミナー、健康だよりの作成などの実務は、専門職が中心となって担っています。

Q. 連携や役割分担で意識していることは何ですか?

A. 全体像を共有しつつも、役割を超えた過度な情報共有は混乱を招くため、必要以上に情報を出しすぎないことを意識しています。各役割に応じて必要な背景や目的を適切に共有することで、それぞれが動きやすい状態をつくることを大切にしています。

Q. 毎年のトレンドはどのようにキャッチアップされていますか?

A. 社内のコンサルタントの方々からキャッチアップしています。重要な変更ポイントやトレンドを整理して教えてくれるため、それをもとに把握しています。

連携は基本的にチャットで行っており、人事コンサルとの専用チャットで日常的に情報交換をしています。また、提出前のタイミングでポイントを絞って確認・レビューをもらうなど、最終確認の場面でも連携しています。

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4.PDCAサイクルの設計・施策の効果検証


Q. PDCAを回すうえで意識していることはありますか?

A. PDCAを回すうえでは、効果検証のためのデータ活用をかなり意識しています。

具体的には、社内で活用している「DXPプラットフォーム」を使って、社内の研修や健康施策(ウォーキングイベント“あゆみ”など)について、その前後でどう変化があったのかを見ています。ストレスチェックやエンゲージメント等の結果などもDXP上で細かく追えるので、施策の影響をある程度きちんと確認できるようにしています。

それと大きいのは、やっぱり年2回ストレスチェックがあるという点ですね。定期的に全社のデータが取れるので、PDCAを回すうえではすごくやりやすい環境だと思っています。

Q. 実際に効果があった施策はあるのでしょうか?

A. 今回の事例でいうと、「あゆみ」の効果検証を行っていて、運動KPIとして「1日8,000歩以上」または「週3回以上の運動」のいずれかをクリアするという設定をしています。
あゆみの効果検証画像

そのうえで、2024年5月時点で運動KPIが未達だった社員を対象に、その後の状況を追っています。具体的には、4カ月後の「あゆみ」への参加有無と、参加した人については180ポイントを達成したかどうかで分類しています。

さらに、その未達成者を3つのカテゴリーに分けたうえで、11月のストレスチェックにおいて運動KPIの達成状況がどう変化したかを見ています。


あゆみの効果検証②

その結果として、最も達成率が高かったのは「参加して180ポイントを達成した人たち」でした。一方で、不参加の人たちは未達成のままというケースが多く、傾向としてもはっきり差が出ていました。

そのため、やはり「参加させて、かつ一定のポイントを達成してもらうこと」が、運動習慣の改善につながっているということが、データからも確認できた事例になっています。

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5.施策の検討・実行について


Q. その他、うまくいった施策はありますか?

A. 著名人を呼んだセミナーがうまくいっている施策の一つです。毎年実施しており、80人ほどがリアルタイムで参加するなど好評で、オリンピック選手の講話なども好評でした。

東京都スポーツ推進団体などからスポーツエールカンパニー認定企業向けに無料セミナーの案内が届くため、その中から講師を選んで実施しています。健康管理部門で相談しながら決めており、コストがかからない点も特徴です。

Q. 逆にうまくいかなかった施策や見直した取り組みはありますか?

A. はい、あります。女性の体調管理系アプリをトライアルで2カ月実施しましたが、従業員への浸透が進みませんでした。

アプリとeラーニングの導線の分かりにくさや、担当者交代による推進力低下が要因だと考えています。現在は継続していませんが、テーマとしては重要なため別の形での展開を検討しています。

Q. 健康施策の浸透について、工夫されていることはありますか?

A. 当社は事業としても健康領域に関わっているため、もともと健康意識が高い社員が多く、浸透自体に大きな課題はあまり感じていません。

一方で施策面では、オンライン参加を取り入れるなど参加しやすさを工夫しています。著名人セミナーもハイブリッド形式にしており、対面とオンラインの両方で参加できる形にしています。

加えて、「未来元気プロジェクト」のような社内施策もあり、日常的な取り組みの中で自然に健康施策が浸透していく流れができていると感じています。

Q. 「未来元気プロジェクト」について教えてください。

A. 「未来元気プロジェクト」は、当社社員が主体となって会社の“ミライ基準の元気”をつくるためのプロジェクトで、活動の中にヘルスケアチームがあります。従業員が主体的に集まり、マインドフルネスの座談会やラジオ体操、ウィークリーイベントなどを実施しています。

その結果として、調査票の項目にも自然に反映できている部分が多いです。こちらから依頼して動かしているというより、もともとの社内の関心事と健康経営のテーマがうまく重なっており、連携がうまくいっていると感じています。


6.限られたリソースでの効率化と工夫


Q. 限られたリソースの中で、効率的に進める工夫はありますか?

A. 効率的に進める方法は今でも悩ましいですが、データ分析をなるべく効率的に行う事は大事にしています。

幸い当社の場合は自社製品のDXPが使えるのがありがたいです。クロス集計などを含めて、エクセルだと毎回ルールを維持しながら手作業で集計する必要がありますが、DXPだと同じ条件で自動的にデータが出せるので、かなり工数とミスが減っています。

Q. コストをかけずにできる施策はありますか?

A. コストをかけずにできる取り組みとしては、例えば朝食欠食予防のスムージー配布などがあります。これは認定制度の仕組みを活用して、無料で提供されるものを使って実施しています。また、体力測定系の機材も購入ではなくレンタルを活用し、低コストで運用しています。

Q. 逆にコストをかけるべき取り組みはありますか?

A. やはりコストをかけるべきなのは、メンタルヘルスや心理面の領域だと思います。外部に委託するカウンセリングなどもそうですし、そもそもメンタル不調が発生した際の社内対応も含めて、一定のコストがかかる前提の領域です。

またエンゲージメント向上の取り組みについても同様で、企画を立てたり施策を実行したりと、人が動くこと自体にコストが発生する領域だと感じています。


7.これまでの苦労と乗り越えた経験


Q. これまで大変だったことや乗り越えた経験はありますか?

A. 一番大変だったのは、健康経営銘柄を取得する前の立ち上げフェーズだと思います。私は当時営業側でしたが、保健師の雇用や体制づくりなど、基盤を整えるところが特に大変だったと聞いています。

また、施策を進めるうえでは専門職の知見が不可欠で、判断や社内展開の際に専門職と連携しながら進める重要性も強く感じています。


8.これから健康経営に取り組む企業へ

Q. これから健康経営に取り組む企業へのメッセージはありますか?

A. 大きく二つあります。

一つは、調査票対策だけの健康経営にしないことが大事という事です。点数稼ぎに寄ると社員の温度感が下がってしまうので、本質的に意味のある取り組みを進めることが大事だと思います。

ただ、もう一つは、とはいえ調査票も大事にした方がいいですよ!という事です。調査票は健康経営で大事にするべき考え方や取り組みが詰まっているので、そこを一つの軸として取り組みを整理し、実績づくりにもつなげていく。そのバランスが重要だと考えています。


9.さいごに


本インタビューを通じて見えてきたのは、健康経営銘柄の継続取得は単発の施策ではなく、仕組みと運用の積み重ねによって支えられているという点でした。施策の効果を可視化し改善につなげる仕組みと、社員主体のプロジェクトによる浸透の両輪が機能しており、健康経営が組織文化として定着している点が特徴的だと感じました。

神原さん、お忙しい中インタビューへご協力いただきありがとうございました!


健康経営を“取得して終わり”にしないために

健康経営銘柄の取得には、特別な施策よりも継続的な取り組みが重要であることが分かりました。

一方で、

・自社の健康経営の現状を整理したい
・健康経営度調査票の対応に悩んでいる
・施策の優先順位を明確にしたい
・健康経営銘柄・ホワイト500取得を目指したい

といった課題を感じている企業も少なくありません。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは、健康経営の実践から評価取得までをサポートする専門コンサルティングサービスをご提供しています。

アドバンテッジ健康経営支援サービス


神原 学

(株式会社アドバンテッジリスクマネジメント 人事部 人事企画課 課長 兼 健康管理部 課長)

■主な業務内容

  • 健康経営の企画・推進
  • 人事施策の企画(新卒・中途採用、人事制度、人材育成など)
  • 理念浸透およびインナーブランディングの推進
  • 人員計画の管理

■保有資格

  • キャリアコンサルタント
  • 健康経営エキスパートアドバイザー

■趣味:YOSAKOI

■最近のトピックス:長野県にてフルリモート勤務を開始しました。

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