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健康投資管理会計とは?産業保健スタッフが押さえるべき健康経営戦略と戦略マップの基本ポイント

健康経営の推進に欠かせない「健康投資管理会計」は、従業員の健康増進にかかる費用対効果を見える化し、経営判断やPDCAサイクルに活かすための仕組みです。本記事では、産業保健スタッフが理解しておきたい健康投資管理会計の基本概念、ガイドラインの役割、健康経営戦略との連携方法をわかりやすく解説します。


1. 健康投資管理会計とは何か

健康投資管理会計は、従業員の健康維持・増進のための投資(費用)とその効果を客観的に測定し、見える化する仕組みです。経済産業省の「健康投資管理会計ガイドライン」に基づき、費用対効果を明確にして健康経営の効率化を目指します。

2. 健康投資管理会計の内部機能と外部機能

  • 内部機能:経営課題の解決や目標達成に向けて、健康投資の費用管理や効果分析を行い、KPI設定やPDCAを回すための体制を整えます。
  • 外部機能:健康投資の成果や取り組み状況を社外(取引先、投資家、地域社会など)に適切に開示し、企業の健康経営への姿勢をアピールします。

3. 健康投資管理会計の5つの構成要素

  • 健康投資:健康器具購入やメンタルヘルス講習など、従業員の健康増進に使う費用。
  • 健康投資効果:短期的な効果を示す指標(例:従業員の健康状態や行動変化、医療費の削減、休業日数の減少など)。
  • 健康資源:健康投資の結果から生まれる中長期的な資源(環境面や人的資源)。
  • 企業価値:健康経営の成果が売上や利益、株価など経済的価値に反映されること。
  • 社会的価値:企業の健康経営が地域社会の健康寿命延伸や社会問題解決に貢献する波及効果。

4. 健康投資効果の評価指標

健康投資管理会計では、臨床医学や公衆衛生の指標を用い、

  • 自己報告の健康・行動指標
  • 医学的健康指標
  • 医療費・薬剤費指標
  • 雇用指標

を分析します。さらに施策の「取組状況」「意識・行動変容」「最終目標指標」の3つの指標も活用し、効果的な評価を行います。

5. 健康投資管理会計ガイドラインの重要性

経済産業省が策定したこのガイドラインは、健康投資の見える化を促進し、企業が効果的な健康経営を行うための基準となります。これにより、健康経営への取り組みが体系的かつ段階的に進めやすくなります。

6. 健康経営戦略の策定と経営課題との連携

健康経営は経営課題の一つとして捉え、経営層の理解と関与が不可欠です。経営課題を具体的に設定し、健康投資や効果、資源の結びつきを明確にすることで、PDCAの運用や外部情報開示がしやすくなります。

7. 産業保健スタッフが実践すべきポイント

  • 健康投資管理会計の構造と指標を理解し、効果測定の補助を行う。
  • 経営層と連携して健康経営戦略の策定に関与し、現場の健康課題を反映する。
  • 健康データを適切に収集・分析し、健康投資の改善提案を推進する。
  • 社内外に向けた情報発信のサポートで企業の健康経営の信頼性向上に貢献する。

産業保健スタッフとして、健康投資管理会計を理解し実践することは、企業の健康経営を成功に導く重要な役割です。経営判断に役立つデータ提供と現場の健康課題の橋渡し役として、積極的に取り組みましょう。

もっと詳しく知りたい方はこちら

出典

アドバンテッジJOURNAL
健康投資管理会計とは?ガイドラインに基づいた作成方法を解説。戦略マップ作成のポイントも!【本質的な健康経営の鍵】

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