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課題解決に繋げるストレスチェックの実施と結果活用方法

ストレスチェックは、従業員の協力が得られず受検率が悪いと集団分析はできなくなります。それによって課題分析に繋がらず、ストレスチェック結果を有効に活用できないまま終了してしまうケースもあるでしょう。折角有料のストレスチェックシステムを導入しても、費用に見合わない結果となってしまうので、どのようにしてストレスチェックをやり切るか、一緒に考えていきましょう。


【目次】
1.社内周知を進める
2.プライバシーが保護されていることを伝える
3.受検する時間と場所を配慮する
4.ストレスチェック結果を活用した組織改善の実施



1.社内周知を進める

ストレスチェックの受検率をあげるには、ストレスチェック制度の実施について、従業員への周知を進めることが重要です。職場環境にもよりますが、メールで案内をする、社内掲示板でお知らせを出す、イントラネットを活用するなどの対応が必要になります。
また、周知の方法にも工夫が必要です。ただ文字だけの堅苦しいものでは、ストレスチェックを受けようという気になりにくいので、認知行動理論、ナッジを活用したデザインで作成してみるのも良いでしょう。テクニックは下記の動画を参考にしてみてください。

▼産業保健の現場におけるナッジ活用法
①最近注目のナッジとは?「直観」と「理性」とは?【産業保健の現場におけるナッジ活用法】

また、社内向けに、ストレスチェック制度についての勉強会を実施するのも良いでしょう。そもそもストレスチェックの意義とは何なのか、回答することのメリットは何があるのかなどを動画で配信してみるのも効果的であると考えられます。
受検率を上げるためにはどのようにすればよいか、をテーマに衛生委員会で話し合ってみるのも良いでしょう。産業医や保健師、社内に精通した労働者の意見から、打開策が生まれるケースがあります。ストレスチェックは業種や労働環境によって実施方法が変わってくるため、事業場にあった方法を模索していきましょう。

2.プライバシーが保護されていることを伝える

受検率を上げるには回答結果が不当な利用をすることはない、プライバシーが守られているということを伝えることが求められます。
ストレスチェックは労働者のメンタル不調の一次予防が主目的であり、事業者がストレスチェックの結果をもとに、社員を解雇したり、異動をさせてしまったりといった労働者が不利益になるようなことに使われてはなりません。もし、ストレスチェックを起因とした不利益が発生してしまえば、今後正直に回答しづらくなるでしょう。その結果、ストレスチェックの回答の信頼性が下がってしまいます。
ストレスチェックを安心して受検していただき、結果を有効活用するためには、まずは「回答者が自身の心理的な状態を可視化させ、不調になる前に予防をするセーフティーラインの役割があることを示す」ことが大切です。次に、「回答の結果は組織の課題を抽出し、どの施策を実施すると良いのかを判断するべきものである」といった、労働者の利益になるものということを発信し続けることも重要です。

3.受検する時間と場所を配慮する

ストレスチェックは受検するタイミングによって結果に影響がでることがあります。例えば、ストレスチェックでは「直近1ヶ月の心身の状況」を尋ねる設問があります。繁忙期により、心に余裕がない状況であれば、その影響により、回答結果が悪くなることが予想されます。その回答の悪化が繁忙期起因なのか、その他の要因なのかはわかりません。
また、多忙により、受検をする時間の確保が難しい状況であれば、受検率も自ずと下がるといえるでしょう。そのため、出来る限り繁忙期は避けてストレスチェックを実施することが望ましいでしょう。

紙で調査票を回収する場合には、回収する場所や方法などに配慮が必要です。紙であれば周りから見えないところで回答してもらう必要があります。休憩室で周りが見えるところしかないなどあれば、本当のことを回答しにくくなったりしますので、ブースを作ったり、回答する時間を設けたり、WEB切り替えを検討するといったことを検討するのが望ましいでしょう。



4.ストレスチェック結果を活用した組織改善の実施

ストレスチェックの結果を用いて実際に職場環境改善に繋げていきましょう。職場の物理的レイアウトや労働時間、作業方法、組織、人間関係などを改善することで労働者のストレスを軽減し、メンタル不調を予防することが狙いとなっています。米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、職場環境等の改善を通じたストレス対策として下記の内容を提示しています。

  • 過大あるいは過小な仕事量を避け、仕事量に合わせた作業ペースの調整ができること
  • 労働者の社会生活に合わせて勤務形態の配慮がなされていること
  • 仕事の役割や責任が明確であること
  • 仕事の将来や昇進・昇級の機会が明確であること
  • 職場でよい人間関係が保たれていること
  • 仕事の意義が明確にされ、やる気を刺激し、労働者の技術を活用するようにデザインされること
  • 職場での意志決定への参加の機会があること

職場環境が改善されれば、生産性の向上や組織の風通しの良さだけでなく、離職防止にもつながります。また、魅力的な職場として企業イメージの向上にも寄与できるでしょう。ストレスチェックの実施だけに留まらず、職場改善までやり切りましょう。



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従業員のストレス状態が高まり精神疾患などを引き起こさないように未然予防するために2015年12月により法制化された「ストレスチェック」。しかし、「ストレスチェック後の改善施策の重要性を経営層や現場管理職に理解してもらえない」「健康経営の取り組みは実施しているがフィジカル面の施策に偏ってしまっている」などという課題をお持ちの方が多いのが現状です。このような課題を解決し、健康経営とストレスチェックをより効果的に進めるために必要な視点と具体的なHowToをコンパクトにまとめておりますので、ぜひご覧ください。

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