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【最新】令和8年度健康経営度調査票の変更点と経産省の狙いを解説

令和8年度健康経営度調査票を読み解く 経産省が描く「次世代の健康経営」とは

2026年8月17日に健康経営優良法人2027の申請受付が開始され、令和8年度健康経営度調査票が正式に公開されました。

特に今回の健康経営度調査票を読み解くと、

  • 健康経営の対象を従業員から派遣社員や家族、取引先等へ拡大
  • 社内外への積極的な情報開示や発信
  • 睡眠やPHRデータを重点テーマとして位置付け
  • 健康経営の浸透度や成果を重視

という明確な方向性が読み取れます。

これまでの健康経営が「制度や施策を実施しているか」を重視していたのに対し、今後は「従業員に浸透しているか」「企業の外にも広がっているか」「健康経営への投資が成果につながっているか」が問われる時代に入ったと言えそうです。
本記事では、健康経営に携わっている経営層、産業医・産業保健師などの産業保健スタッフ、人事労務担当者向けに、健康経営度調査票の改訂ポイントを解説します。

申請スケジュール


目次

  1. ポイント①:健康経営対象の拡大
  2. ポイント②:社内での浸透度・社内外への情報開示
  3. ポイント③:持続可能な働き方の実現(ワークライフバランス・長時間労働)
  4. ポイント④:政策の重点テーマを反映(睡眠・PHR)
  5. ポイント⑤:アンケートの新設(健康投資額・ベストプラクティス・ライフデザイン経営)
  6. 参考:健康経営銘柄Premier(プレミア)の新設

ポイント①:健康経営対象の拡大

他社派遣社員や家族への健康支援

健康経営銘柄およびホワイト500の認定要件として、

  • 他社からの派遣社員や常時使用しない従業員への健康支援
  • 従業員の家族に対して実施している施策

が新たに追加されました。令和8年度はどちらか一方への対応で要件を満たしますが、令和9年度以降は両方への対応が求められる予定です。
健康経営対象の拡大(他社派遣社員や家族) 調査票

グループ会社や取引先等への健康経営支援

これまでのグループ会社や取引先等の内容が見直され、グループ会社や取引先・他社・個人事業主への健康経営の普及・支援について、より具体的な支援や推進体制が求められるようになります。未実施の場合、評価項目不適合となるため自社以外にも支援が必要になります。

健康経営対象の拡大(グループ会社や取引先) 調査票

ポイント②:社内での浸透度・社内外への情報開示

社内での健康経営の浸透度

従業員への健康経営の理解・促進は、健康経営銘柄およびホワイト500の認定要件となります。管理職や従業員の理解を促すため、継続的に自社の健康経営に関する情報を発信することが求められます。
社内での健康経営の浸透度

社内外への情報開示

健康経営優良法人2027(大規模法人部門)の必須要件である「健康経営の方針等の社内外への発信」の該当設問が、開示している媒体数の多寡を問う趣旨ではないための見直しとなり「健康経営の推進について一元的に記載している媒体とURL」(Q18SQ5)へ変更されます。

用語の定義にて、開示とは「社外に公開している必要があります。社内や株主のみなど、一部に限定している場合は該当しません。」と追記されたほか、健康経営の推進目的と体制について「URLで公開しているものに限ります。紙媒体のみは除きます。」と注意書きが追記されたり、戦略マップに関してもあえて「社外」開示と強調されていたりと、社外へ向けた広くオープンな健康経営の情報発信がより重要性を増しています。

社内外への情報開示 調査票

ポイント③:持続可能な働き方の実現(ワークライフバランス・長時間労働)

これまであった同様の項目を、ワークライフバランスの実現長時間労働の予防と事後対応として見直され、「任意のタイミングで取得できる有給の特別休暇制度」や「就業時間外の対応禁止ルール化」などより具体的な取り組みが選択肢として追記されました。

大規模法人部門では、長時間労働の予防・事後対応として、a.労働時間の適正化とb.長時間労働者への取り組みの双方に取り組むことで認定要件を満たすこととし、中小規模法人部門では、a.bいずれかに取り組むことで認定要件を満たすことになります。

ワークライフバランス・長時間労働 調査票

ポイント④:政策の重点テーマを反映(睡眠・PHR)

睡眠の質向上に向けた取り組み

今回の改訂で最も注目される変更の一つが、睡眠に関する設問の新設です。

睡眠は健康を支える最も重要な要素の一つであり、生産性やメンタルヘルスにも大きな影響を与えます。こうした背景から、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太方針)」でも攻めの予防医療の取り組みとして睡眠対策を含む健康経営の推進が明記されています。

これまで睡眠は「従業員の生産性低下防止施策」の一部として扱われていました。しかし令和8年度は、「睡眠の質向上に向けた取り組み」として独立した設問が新設され、「睡眠改善ウェアラブルデバイスの導入」や、産業医に加えて「臨床心理士や保健師」による睡眠関連指導などの項目が追記されました。
睡眠の質向上に向けた取り組み 調査票

PHR(Personal Health Record)の活用

PHRとは、健康診断結果や体重、血圧、歩数などの健康データを個人が管理・活用する仕組みです。

政府は日本成長戦略の中で、ライフログデータやPHRを活用したヘルスケアサービス市場の拡大を掲げており、今回の改訂もその流れを反映したものと考えられます。

PHRデータの利用促進に関する設問は昨年度の健康経営度調査(大規模法人部門)で新設されたところですが、調査(出典④)によると利用促進のための取組を実施している企業は約6割であり、PHRの活用が進んでいることを背景に、具体的な活用方法を問う設問となり、中小規模法人向けのアンケートも新設されます。

PHRデータの利用 調査票

ポイント⑤アンケートの新設(健康投資額・ベストプラクティス・ライフデザイン経営)

健康投資額

成長戦略においてデジタルヘルスサービスの国内市場拡大を目標に掲げていることを踏まえて、令和8年度調査では、健康投資額に関するアンケートが新設されます。なお、現時点では評価対象ではなく実態把握が目的とされています。

ベストプラクティス

政策的観点から企業への取組を促したい下記のテーマについて、先進的かつ実効的な取り組み内容を収集し、大企業10社・中小企業40社が選定・公表される予定です。審査は、先進性、横展開の可能性、実効性の3つの基準から判断されます。
ベストプラクティス テーマ

ライフデザイン経営

ライフデザイン経営とは、社員がキャリアとライフを両立し、充実したライフデザインを実現できる環境を提供することで、人材の能力を最大限に引き出し、企業価値向上につなげる経営の在り方のことと定義されています。

働きがい・働きやすさと生きがいの双方が実現された状態は、心身の健康にとって重要な要素であるとして、今回ライフデザイン経営の認知度・必要性・取組内容について問うアンケート項目が新設されています。


参考:健康経営銘柄Premier(プレミア)の新設

今回、健康経営銘柄に継続選定されている企業を層別化する新たな枠組みとして、健康経営銘柄Premier(プレミア)制度が創設されます。

健康経営銘柄に通算10回以上選定されるなど一定の条件を満たした企業に対し、新たなロゴ付与や優先的な事例紹介が予定されています。

これは健康経営のトップランナー企業をより明確に可視化し、他企業への波及を促すことが狙いと考えられます。


まとめ

令和8年度健康経営度調査票から見えてくるのは、健康経営が「従業員の健康管理」から「企業価値向上につながる経営戦略」への方向性です。

今回の健康経営度調査票では、健康経営の対象が従業員だけでなく家族や派遣社員、取引先へと広がり、健康経営の取り組みを社内外へ発信することや、従業員への浸透度を把握することがこれまで以上に重視されています。また、睡眠やPHRといった国の政策とも連動するテーマが盛り込まれ、健康投資額やベストプラクティスに関するアンケートの新設からは、「何を実施したか」だけでなく「どのような成果につながったか」を把握しようとする姿勢もうかがえます。

これまでの健康経営度調査票は、施策や制度の有無を確認する側面が強いものでした。しかし今後は、健康経営が従業員一人ひとりに浸透し、組織文化として定着しているか、さらには企業の競争力向上や持続的な成長に結びついているかが問われる時代になっていくでしょう。

産業保健スタッフや人事労務担当者にとっては、今回の調査票対応を単なる認定取得のための準備として捉えるのではなく、自社の健康経営を次のステージへ進める機会として活用することが重要です。設問内容や要件の詳細を確認しつつ、自社の現状とのギャップを整理し、着実に対応を進めていきましょう。


■出典


  1. 経済産業省|第6回 健康経営推進検討会
  2. 令和8年度健康経営優良法人認定事務局の活動及び申請認定に関するご報告
  3. 内閣府|経済財政運営と改革の基本方針2026 : 経済財政政策
  4. 経済産業省|第6回 健康経営推進検討会 事務局資料(今年度施策及び調査等の方向性について)

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