【ウェビナーへのご質問に回答】行動につなぐ!ナッジで支える睡眠改善アプローチ~ナッジ編~
7月31日に開催いたしました『行動につなぐ!ナッジで支える睡眠改善アプローチ』では、ナッジを活用した実践的な睡眠指導についてご講義頂き、非常に参加された皆様の満足度の高い内容となっておりました。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
ウェビナー内でお答えしきれなかったご質問に関して、講師の竹林正樹先生にご回答頂きましたので本記事にて紹介させていただきます。
1,ナッジによるアプローチ方法
【ご質問】
改めてアプローチについてナッジ的にご教授いただきたいです。 23:00就寝可能時間(睡眠時間を確保できる)なのに、仕事と家事ばかりで自分の時間がない、自分の好きな時間を持ちたいと、就寝がAM2:00、3:00の方。美容に関心も高い方で、睡眠が大切と分かってはいるが、、、、という方です。
<平均 >
退勤21:00
帰宅21:45
後は寝るだけ23:00(両親に助けてもらって育児、食事、家事、お風呂を終える)
就寝24:00~25:00
【ご回答】
「自分の時間を持ちたい」という意欲を持つのは大切なことです。行動経済学の観点から①もっと早い時間に自分の時間を持てないか?と②深夜にやっていることは本当に自分のやりたいことなのか?が気になります。ここでは「深夜に何をしているか?」というケース別に回答します。
・論文を書いている場合→日中の隙間時間にやったほうがよいですね。深夜に思いついた仮説は、突拍子もないものが多いので、深夜は先行研究検討くらいにしておいたほうがよいです。これは「権威バイアス」を使って、論文をガンガン出版している研究者から伝えたほうが効果的です。
・読書をしている場合→電子書籍よりも紙媒体に切り替えたほうがよいですね。スマホの明かりで目がギンギンになることもないですし、内容に集中できます(スマホで読むと、読み終わったらSNSに投稿しよう、といった余計な行動が加わり、ますます眠れなくなります)。
・ゲームやSNSをしている場合→企業の戦略によってやめられない可能性が高いです。スマホ画面を白黒にしてみることから始めてみてはいかがでしょうか?
・友達とおしゃべりをしている場合→友達の周りの人も困っている可能性があります。最初に終わる時間を宣言してみてはいかがでしょうか?
2,活動量を増やすためのナッジ
【ご質問】
竹林先生、よろしくお願いいたします。運動が睡眠に良いのですが、なかなかみなさん運動が励行できません。このときに、施設として、低めの椅子を用意して立ち上がるたびに少し負荷がかかるようにするのと、時折は休憩をしましょうとして、コーヒースタンドを部署から遠くに設置する方法とは、ナッジ的にはどちらが有効でしょうか。
【ご回答】
どちらも環境を整えて、身体活動量を増やすものですね。コーヒースタンドを遠くに設置したほうがよさそうです。理由は、立ち上がる時の負荷を大きくすると、「立ち上がるのが面倒」となり、座位時間が長くなる可能性があることと、ぎっくり腰のリスクがあることによるものです。すぐに立ち上がるようにするには、机にものを置かず、キャビネットに取りに行かなければいけないようにするのがよいのかもしれませんね。
職場環境を整えて、座位時間を短くした事例を紹介します。参考にしていただけますと嬉しく思います。
3,ごちゃごちゃ考えた時
【ご質問】
ごちゃごちゃ考え始めた時はメモ帳に走り書きをすると意外に考えなくなることがあります。
【ご回答】
ありがとうございます。おっしゃる通りです。抽象的な問いのまま考えるので、収拾がつかなくなります。書き出して「コントロール可能なもの」「不可能なもの」「すでに解決済みのもの」と細分化すると、ターゲット行動が絞りやすくなり、その上でコントロールできるものに注力すればよいと考えます。
さんぽLABは、今後も定期的にウェビナーを開催いたします。年間スケジュールは、下記リンクよりご確認ください。