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産業保健師のためのキャリアデザイン 〜強み×理想で“私らしい働き方”を実現しよう〜 |古谷しづか(保健師・キャリアコンサルタント)

はじめに

近年、ワーク・ライフ・バランスの推進や働き方改革関連法の施行、コロナ禍によるテレワークの普及や副業・兼業解禁の流れ、更にAIによる業務内容の変化など、私たちの働き方は大きく変化しています。それに伴い、働く時間、場所、雇用形態など、産業保健師の働き方も多様化が進んでいます。

働き方、生き方を見つめ直し、自分らしい働き方を実現したいという人が増え、社会的にも一人ひとりが主体的にキャリアをデザインしていくことが求められています。

キャリアデザインとは

キャリアデザインとは、将来のなりたい自分を描き、その実現に向けてキャリアとライフスタイルを設計すること。キャリア=仕事だけではなく、ライフスタイル=生き方つまり仕事以外の生活スタイル(家事、育児、介護、趣味、ボランティア、PTA活動など)も含まれます。

産業保健師のキャリアについては「スキルや実績に自信がない」「大きな不満はないけれど、このままでいいのか不安」「日々の業務で忙しく、キャリアを考える余裕がない」というお悩みを多くお聞きします。そこで今回は3つのステップを通して、私らしいキャリアをデザインする方法をお伝えします。


執筆:古谷しづか(保健師・キャリアコンサルタント・四柱推命鑑定士/看護師、産業保健師を経て起業。)


<目次>

STEP1. キャリアを振り返り、強みを知る
STEP2. 働き方の選択肢を広げる
STEP3. 理想のライフスタイルとキャリアを掛け合わせる


順番通りに進めていただくのが一番ですが、気になるところから実践しても大丈夫です。
“私らしい働き方”実現の一歩を踏み出しましょう!


STEP1.キャリアを振り返り、強みを知る

これからどのようなキャリアを歩んでいきたいかを知るためには、自分が今持っている経験・知識・スキルを把握することから始まります。

自分がこれまで歩んできたキャリアは、他の誰とも違う唯一無二のものです。過去に取り組んできた仕事や経験を振り返ることで、自分の得意なこと、大切にしたい価値観、これからやってみたいことなどが見えてきます。

①時系列でキャリアを振り返る

まずは時系列でこれまでの経歴と経験を書き出してみましょう。
「年齢」「配属先・場所」「経験した業務」「得られた成果やスキル」4つの項目について振り返ってみます。

「配属先・場所」には働いた場所、企業名、部署などを書きます。「経験した業務・プロジェクト」には担当した分野や業務内容をできるだけ詳しく書いてみましょう。
保健師の仕事だけではなく、学生時代のアルバイト、ボランティア活動なども含まれます。保健師以外の職歴があれば、それも書き出しましょう。一見関係なさそうな経験が、今の仕事や価値観に繋がっていることも少なくありません。思いつく限り、書いてみてください。

「得られた成果やスキル」では、その仕事で得られた数字的な成果や業績の他に、自分が成長した部分に注目していきましょう。成果とは「うまくいったこと」「達成したこと」だけではありません。失敗や壁にぶつかった経験も、そこから改善や成長につながっていれば立派な成果になります。
スキルは資格や検定といった技術面だけではなく「人の話を丁寧に聴く力」「スケジュール管理能力」「関係部署との調整力」「分かりやすい資料作成」「場を明るく和ませる力」といったポータブルスキルにも目を向けてみましょう。
※ポータブルスキルとは職種や業種が変わっても生かせる汎用的な能力のことです

このようにそれぞれの経験から得られた成果、スキル、自身の成長を振り返ることで、今後のキャリアに活かせる資産を見つけることができます。

②強みと弱みを整理する

これまでの経験の中で、成果が出たこと、周りから褒められたり評価されたりしたこと、モチベーション高く取り組めたことなどをピックアップしていきます。「得意なこと」「好きなこと」「頼まれやすいこと」などは強みに繋がります。
「強み」というと、「人と比べて優れていることでなければいけない」「強みと呼べるようなものが自分にはない」と思い、悩んでしまう人もいるかもしれません。人と比べる必要はありませんが、そういう場合は「やっていて苦にならない」「どちらかというと、うまくできる」という風にハードルを下げて考えてみましょう。

また、キャリアデザインでは強みだけではなく、弱み=苦手なことを知ることも非常に重要です。例えば、「大人数の前で話すのが苦手→個別対応メインの仕事」「分析や統計が苦手→企画や相談業務が多い仕事」といったように、弱みから自分の強みが分かったり、やりたい仕事が見つかったりすることもあります。無理に自分を変えようとするのではなく、今の自分を活かせる仕事や環境を選ぶ視点があると、キャリア選択の幅が広がります。
もちろん、苦手なことを乗り越えて成長することも、素晴らしいことです。弱みをネガティブにとらえず、次のキャリアに活かすヒントと受け取ってみましょう。

③今後のキャリアプランを立てる

これまでに振り返ってきた内容をもとに、2〜3年後までのキャリアプランを考えてみましょう。これまでの経験・スキル・強みをどのような場面、業種で活かすことができるか具体的に書き出してみます。例えば「コミュニケーション能力が高い→チームの連携や調整に活かす」「企画することが得意→健康に関するイベントや情報発信の企画に携わる」「個別面談のスキルが高い→1on1が苦手な管理職の相談に乗る、社内研修でスキルを共有する」など今の職場で活かすこともできますし、スキルや強みを知っていると転職や副業など他の選択肢を考えるきっかけにもなります。

また、保健師以外でも興味のある分野があれば書き出してみるのもおすすめです。すぐに仕事に直結しなくても、これからやりたいことの芽が育つ可能性がありますし、今後の仕事に活かされることもあります。自分一人で考えるのが難しい場合は、キャリアコンサルタントなどの専門家、上司、友人など周囲に相談してみても良いでしょう。

更に詳しくキャリアの振り返りをしたい方には厚生労働省の「マイジョブ・カード」というサイトがおすすめです。


STEP2.働き方の選択肢を広げる

自分に合った働き方を選ぶためには、選択肢を多く知っておく必要があります。今すぐ働き方を変えなくても、どんな選択肢があるのか情報を得ておくと、いざという時に安心です。
働き方の選択肢を広げるには、働く時間(フルタイム、フレックス、時短、短時間など)、働く場所(リモート、在宅勤務、出社するなど)、雇用形態(正社員、パート、派遣、業務委託、フリーランスなど)、これらの組み合わせや、副業・兼業、起業など、色々な視点から考えてみることが大事です。では、具体的にどのように働き方の選択肢を広げていけばいいのかご紹介します。
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■執筆


古谷 しづか

保健師/キャリアコンサルタント/四柱推命鑑定士

1980年 宮城県生まれ、埼玉県在。
宮城大学看護学部卒業後、都内私立大学付属病院にて看護師として2年半勤務。
その後、企業の健康管理センターにて産業保健師として約1万人の職員の健康診断の対応、過重労働対策、メンタルヘルス、ストレスチェック、禁煙支援などを行い、7年勤務。
2016年に独立・起業。
産業保健師、女性のキャリア支援、SNS発信を行う。
プライベートでは、男の子3人(20歳、17歳、12歳)の母。

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