【初級編】相手に伝わるパワーポイントの作り方!
大抵の現場ではパワーポイント(PowerPoint)による資料作成がついてきます。
報告/共有/提案/教育など、どの業務をこなしていくにもパワーポイントと向き合っていく必要があります。
さて、皆さんは相手に伝わりやすいパワーポイントを作成できていますか?
『毎日使っているからバッチリ!』
『いや、いつまでたっても自信はないな...』
など、様々でしょう。
時間をかけて作成したパワーポイントが相手に伝わらないと時間ももったいないし、
悲しいものです。今回の記事では、製作者の意図が相手にしっかりと伝わるように抑えておくべき構成とデザインの2つを学ぶことができます。目指せ、パワポマスター!
【目次】
1.まずは構成を考える
1-1.伝えたいことを文字にして書き出す
1-2.図形で要素を整理し、配置する
1-3.無駄な情報を削除する、必要なものを図にする
2.デザインについて
2-1.色の持つ特徴を活用する
2-2.デザインの性質を理解する
2-3.デザインの4大原則を守る
3.最後に
1.まずは構成を考える
資料を作るうえで、まず重要になるのは資料の構成を考えることです。いきなり資料を作成すると伝えたいことがぶれてしまったり、情報量が多すぎて、何を伝えたいのか分からなくなってしまいます。構成を考える際には、以下の3つのポイントを参考にしてみましょう。
1-1.伝えたいことを文字にして書き出す
まずは伝えたいことを文字に書き起こしていきましょう。
例えば、従業員への教育資料でインフルエンザをテーマにしたものを作るとしましょう。
ここでの主目的は『インフルエンザを予防することの重要性』を伝えたいとします。では、実際に書き出してみましょう。
(例)
・今年のインフルエンザの傾向について伝える
⇒発生状況も組み込んだ方が良い
・インフルエンザのA型とB型の違いは良く聞かれるから解説
・新型コロナウイルスの第〇波がきたから、症状の違いも
・インフルエンザの予防方法も図示しよう
・ワクチン接種も促せるようにしよう
1つの目的に対して、様々な伝えたいことが出てきたかと思います。資料を作る前に、伝えたいことを明確にすることにより、まとまりのある資料に一歩近づきましたね。
1-2.図形で要素を整理し、配置する
続いて書き出した要素を整理し、伝え方について考えていきましょう。要素を整理する上で良く用いられるのはPREP法があげられます。
例えば、インフルエンザ予防の重要を伝えたいとしましょう。
その場合、まずはインフルエンザの予防の重要性について伝え、
次に予防しないといけない理由を上げます。
最後に予防の具体例を伝える....といった流れになります。
流れに沿ってパーツを作成したら、その配置方法も重要になります。
一般的な日本人の視点の動きはZ字になると言われています。
そのため、最も伝えたいことを左上に記載することが重要です。フローで説明するさいには左から右に動くようにしましょう。
さて、ここですぐに活用できるレイアウトを3つご紹介します。
①上部にキーメッセージを配置し、下部にグラフ・図表を配置する
定番の形です!
②左にグラフ・図表を配置し、右にキーメッセージを配置する
箇条書きでまとめたり、説明した後に結論を伝える際におすすめです。
③真ん中にテキストを置くだけ
メッセージを強く主張したいときに目立たせることができます。
この際、余白をしっかりと残しておくことが重要になります。
1-3.無駄な情報を削除する、必要なものを図にする
最後に重要になってくるのは情報の取捨選択です。いっぱい伝えたいことがあってもターゲットに刺さらない内容であったり、伝えたいことに関係のない情報の割合が多くなってしまったりしてはよろしくありません。
ターゲットに伝えたいことなのか、どういう場面で使うのかなど、今一度整理し不必要な情報を削除していきましょう。
また、重要だが文字や言葉では伝えにくいものがあれば、図示してみるのも効果的です。情報の重要性や関係性をもとに図に落としこむか判断しましょう。
2.デザインについて
構成について考えられたら、次はデザインについて学んでいきましょう。ここでは配色や用いる図形の使い方を工夫することで、直観的に理解できるスライドに仕上げることが可能になります。
2-1.色の持つ特徴を活用する
色の特徴を正しく把握することで、直観的に重要なことや危険なこと、実践すると良いことや悪いことが理解しやすくなります。以下の図表を参考にしてみてください。
わかりやすい例としては、赤は熱を持つイメージ、反対に青は寒いイメージといったところでしょうか。また、製造業の現場に掲載するポスターなどでは、事故防止のために配色で目立たせているものを見かけることが多いのではないでしょうか?
さて、色の話をしてきましたが注意すべきこともあります。色の見え方には個人差が存在するということです。色の組み合わせ方によっては色の見え方が変わることもあります。誰でも見やすいような色の使い方をする必要があり、そのことをカラーユニバーサルデザインと言います。NPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構のホームページで詳しく解説されていますので参考にしてみてください。
補足:カラーユニバーサルデザインとは
こうした人間の色覚の多様性に対応し、より多くの人に利用しやすい配色を行った製品や施設・建築物、サービス、情報を提供するという考え方を「カラーユニバーサルデザイン(略称CUD)」と呼びます。
参考サイト:NPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構 CUDO – 誰もが自分の色覚に誇りを持てる社会に
2-2.デザインの性質を理解する
続いてデザインの性質を把握できるようにしましょう。下記の図では用途が同じだが雰囲気の変わるデザインを並べてみました。是非、比較してみてください。
資料の用途、目的、見せたい印象によってデザインを使いわけることが、内容をより分かりやすいものにすることができます。インフルエンザ予防などの喚起であればやわらかい雰囲気に、危険な場所の注意喚起ならシャープかつはっきりとしたデザインに、といったイメージです。色々試してみると良いでしょう。
2-3.デザインの4大原則を守る
ここから先はデザインの4大原則を知り、スライドに落とし込めるようにしましょう。
①反復
反復とは『特定のデザインルールを繰り返す』ことを指します。
全体のトーンを統一し、並列の要素を同デザインで設計をしましょう。
そうすることで、視覚的な理解のしやすさも増して読みやすくなります。また同じデザインをコピー&ペーストして使いまわせるのでスライドの作成速度自体も上がります。
②対比
情報を掲載する際には重要なものは目立つようにして、メリハリをつける必要があります。以下の図はさんぽLABのセミナーの告知内容をもとに作成したものとなります。2つの画像を比較してみてください。上の図はただセミナーの内容が羅列されているだけで、何が重要なのかがはっきりしませんよね。
下の図は伝えたい情報をピックアップして目立たせているので、何が学べるのか/日時/講師のイメージが分かりやすくなっています。
ポイント
・Zoom開催を上に置くことで、参加のしやすさをアピールしている
・セミナータイトル『健康への一歩 食生活を改善するコツとは』について、キーワードを太字&サイズを大きくさせて目立たせ、セミナーの内容を分かりやすくしている
・講師名は読みやすくするためにスペースを空ける
・講師と先生は同じ意味なので、どちらかにする
・開催日時は日付を一番伝えたいので太字&サイズを大きくする
③近接
近接は視覚から情報同士を結び付けるのに必要なテクニックです。まず、上の図を見てみましょう。どの人の紹介なのか、バラバラでわかりにくくありませんか。どこから見ていけばよいかもわかりにくいですし、理解に苦しむ資料となってしまいます。
下の図は画像と説明文章を近づけてグルーピングしました。またグループの間に余白を作り出すことで、Aさん~Dさんまでの情報を区別しやすくしています。
▼グルーピングされていない図
▼グルーピングされている図
④整列
整列は各要素にルールを持たせ、意図的に整列することです。下記の図はさんぽLABのコンテンツが会員限定なのか、非会員でも見られるのかで整理し、見やすくまとめたものになります。要素ごとにサイズを揃え、シンプルでも読みやすい設計にすることを意識しましょう。
▼整列のイメージ図
3.最後に
産業保健の現場では、経営層の提案・プレゼンや従業員に対して情報発信するなど目的や対象がその時によって変わってきます。パワーポイントで資料を作る際には
・伝えたい内容を書き出す
・図で整理する
・情報の取捨選択を行う
・分かりやすいデザインで調整する
ことを、まずは実践してみましょう。
本記事の内容をマスターできるように、業務の中で手を動かし、スライドにテクニックを落とし込んでいただけたら嬉しいです。
最近ではChatGPTなどのAIが資料を作成してくれるなど、技術の進歩が著しいです。
AIの力をフルで活用するためには、スライドの構成やデザインに関する知識は、より重要になってきます。
私たち、運営事務局としてもお手本になるような資料を作成していけるように、日々成長していければと思います。また、次回の記事でお会いしましょう!
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■作成:さんぽLAB運営事務局 衛生管理者